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フランスの有名シェフと国家最優秀職人(Meilleur ouvrier de France)とは?タイトル取得でどう変わる?

フランスには、「国家最優秀職人賞」というものがあります。

料理やパティスリーのシェフ、衣装職人などで手仕事をする優秀な人材には、国から「国家最優秀職人」というタイトルが贈られます。

フランス語で国家最優秀職人のことを、Meilleur ouvrier de France、頭文字のMOFと書いて、「モフ」と言っています。

モフの対象は、料理シェフ以外にも、伝統衣装を造る職人さん、技工士など約200以上の職種があります。

国家資格ですので、試験は厳しく、厳正な試験に通過した最優秀職人には次のステージが待っています。

試験が4年に一度と、戦前にできた制度ですが、今まで受賞できた人の数もまだまだ少ないのです。

だからこそ、このタイトルには重みがあり、またその恩恵があるのです。

トップシェフというと、ミシュランガイドの星に輝くシェフが注目されていますが、MOFのシェフもフランスではとても尊敬されています。

ではどっちが有名?というと、ミシュランガイドは宣伝面で世界規模ですが、MOFのタイトルには魅力があります。

フランスの国家最優秀職人章(MOF)とは?

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MOFについて、ウイキペディアに説明がありますので、引用を載せます。

国家最優秀職人章(こっかさいゆうしゅうしょくにんしょう、Meilleur Ouvrier de France、MOF)はフランス文化の最も優れた継承者たるにふさわしい高度な技術を持つ職人に授与される賞。

その歴史は1913年、美術評論家であり、ジャーナリストでもあったフランス人 Lucien KLOTZ (1876-1946)がフランスの伝統工芸技術を保護し、その発展を図ろうと運動を始めたことにさかのぼる。展示会を定期的に開催し、優れた技術者を表彰することを考え、政府、業界の有力者に働きかけたが、第一次世界大戦の勃発で中断。戦後、政府の支援を得て活動が再開され、1924年に第1回手工芸大展示会が開催された。 現在では、対象となる職種は料理、製菓、パン以外にも、宝飾品、工芸品、ガーデニングなど幅広く、フランス人の Art de Vivre(生活芸術)の精神にふさわしく、その数は約180職種に及ぶ。ただ一番有名なのは、「料理」であり、これまでにもポール・ボキューズ、ジョエル・ロブションら多数の有名料理人が名を連ねている。最年少受賞者(25歳)であるギヨーム・ゴメスも料理人である。 (中略)

M.O.F.のコンクールは、4年に一度開催され、合格者にはエリゼ宮にてフランス大統領名でM.O.F.のメダルが授与される。料理・菓子などについてはトリコロールカラー(三色旗色)襟のコックコートの着用が認められる。(現在日本人では美ノ谷氏のみが着用を許されている。)

引用先 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E6%9C%80%E5%84%AA%E7%A7%80%E8%81%B7%E4%BA%BA%E7%AB%A0

とありますように、試験は4年に1回ですので、落ちると4年待ちで、再度準備をすることになりますので、そう試験に望めるものでもないのが現実です。

フランスの有名シェフとMOFのシェフは?

フランスの有名シェフは今まではミシュランガイドで星に輝いてきているシェフです。

●がついているシェフは、ミシュラン星のシェフです。

料理部門で世界的に有名なMOFといえば、
●ポール・ボキューズ
●ジョエル・ロブション
●アラン・ドュカス
●ギオム・ゴメーズ(エリゼ宮旧シェフ)

ショコラティエには、ミシュランの評価はなく、グルメ評論家による評価で有名になっています。 そのなかでも、世界的に有名になったMOFといえば、

パトリック・ロジェ
ジャン・ポール・ヱヴァン

などの方達です。

MOFの評価が上がっている理由には、ミシュランの星の付け方に透明性がなかったり、ミシュラン社のガイドコメンターが、全レストランを現場検証していないと暴露した経緯もあります。

フランスの国家最優秀職人章(MOF)の栄誉と恩恵

MOFのタイトルをゲットできるメリットといえば、なによりも信頼を得られることでしょう。

MOFが話題になるようになったのは、特にこの10年くらいですが、あるなしで、事業にも大きく関係してきます。

MOFとあれば、やはり個人のお客さんがきますし、企業からも注文がくるようになります。

味は好みがありますし、美味しさにも個人差がありますが、技術が評価されたわけですから、だれでも取れないタイトルを取得できたことで、尊敬もされ、注文も増えます。

フランスの国家最優秀職人章(MOF)の看板効果

実際パティスリー店やショコラティエ店には、MOFの文字が看板についています。

有名な、パティシエ、料理シェフ、ショコラティエはパリでお店を開くことが多いです。

星付きレストランや、MOFのショコラティエも全部ではないですが、観光客数の多いパリに集まります。

ブティックには、このMOFのマークが看板に書かれています。

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メゾン・ラルニコル
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イヴ・チュリエス
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パトリック・ロジェ

最後のパトリック・ロジェのブティックの看板には、MOFの文字がついていません。

パトリック・ロジェは例外で、チョコレート彫刻家でもありますし、パリでもNO1ショコラティエとも評価されていますので、MOFの文字をわざと入れていないともいえますね。

ただ、多くのパン屋さんやパティシエ店には、MOFの文字が見えるようになっています。

フランスの国家最優秀職人章(MOF)取得後の変化

困難なタイトル取得ですが、取得後は、店舗も増やし入る例が多いのですね。

先ほどのショコラティエ3人と、別のMOFを含めると、

●ショコラティエのメゾン・ラルニコルは今年で約国内に35軒。

●ショコラティエのメゾン、イヴ・チュリエスは、今年で国内に約80軒。

●ショコラティエのパトリック・ロジェは、今年で国内に7軒、ロシアに1軒。

●ショコラティエのジャン・ポール・エヴァンは、今年で国内に6軒、日本に12軒。

となっています。

ショコラティエの場合は、レストランよりも、競合が多いですが、店舗数が伸ばしやすい形態なのか、イヴ・チュリエスさんの80軒とは、驚く数字です。

お店を増やしても、お客さんが来なければ意味がないのですが、MOFのタイトルを2つ取得している方だから、出来ることなのかもしれません。

フランスの国家最優秀職人章(MOF)の試験

フランスの国家最優秀職人章(MOF)の試験の難易度

MOFのタイトル取得は、良いことづくめのようです。MOFのタイトルは、ミシュランガイドの星の評価と違い、毎年変わるものではなく、一生ものです。

であれば、出来れば取得したいですよね。

MOFのタイトルがあれば、パン屋さんを開けば、銀行はお金を貸してくれます。

タイトルなしだど、他のパティスリー店と競争で、値段も高くできませんが、MOFのタイトルを取れば、他店と差別化もできるというものです。

しかし、4年に1回のこの試験は難関です。

実際に試験に合格するには、約1年から2年の準備期間が必要で、仕事との平行は困難です。

だから、だれでも挑戦ができるというものでもないのですね。

試験の申し込み自体の費用は、約200ユーロでできますが、時間内に作品を創るためには、練習が必要です。

受験資格には23歳以上、つまり料理シェフやパン職人の場合は、だいたい16歳で勤務してから、仕事をしながら準備することになります。

そうなると、特に料理シェフやパン職人だと、朝の7時から夜の8まで働いて、または、夜の10時からお昼までの勤務後に、また週末にMOFの試験の準備練習をするのです。

準備期間は大体1年から2年間で、従業員だと勤務後に職場でできる場合もあります。

しかし店主で一人自営だと、店を休んで試験に臨むことにもなり、そうなると1年休業になり、無収入にもなり中々できる人がいないということです。

また、練習するには材料費がかかりますし、今までの取得者数は、導入後1万人に達していません。

ミシュランガイドの星付きの有名シェフが受けて、選ばれないと暖簾にドロを塗ることにもなり、MOFの試験を受けない人といますし様々なのです。

4年に1度でも、技能が達していないと、MOFが誕生しない職種もあるのです。

フランスの国家最優秀職人章(MOF)の別タイトル

MOFのタイトルでショコラティエの例だと、まず店舗数が伸びていますが、MOFのタイトルがなくとも、料理シェフで現在世界1のシェフといえば、やはりアラン・ドュカスさんでしょう。

すでに、調理場には入らないドュカスさんですが、ミシュランの星の数で世界トップシェフになっても、MOFのタイトルを今から約5年まえに貰っています。

ビジネス展開している世界のトップシェフにとってもMOFのタイトルは、手に入れるだけの価値があると言えるということです。

この点に関しては、ドュカスさんは、フランスの南のパティスリー学校を作り、そこの学長をしています。

先ほどのMOFの例に出しました、ショコラティエのメゾン、イヴ・チュリエスさんがドュカスさんと共同経営者ですので、片方がMOFのタイトルを持っていないのは、バランスがとれないというのもあったのでしょうか。

栄誉はあれば越したことはないでしょうし、贈られるものであれば、辞退はしないというものですね。

(MOF)のフランスの料理・パティスリー学校

フランスはガストロノミーの国、人材育成のために料理とパティスリー学校がパリ、ルーアン、イサンジョに作られました。

学校も、 アランドュカスさんとモフのイヴ・チュリエスさんのENSPがイサンジョに、

モフのジャン・ミシェル・ペルションさんが、Bellouet Conseil「ベルエ・コンセイユ」を作られました。

モフ自らが将来の人材育成に力を入れています。

まとめ

フランスの国家最優秀職人(Meilleur ouvrier de France)となれば、その業界では人生が変わると言われています。

恩恵が多いタイトルで、MOFにかがやくと、星付きレストランからも注文がきたりと、取引先が変わり益々実名ともに評価も上がるケースが多いです。

バゲット最優秀賞のように、受賞者はエリゼ宮へ1年間バゲットを納入できるというのもあります。

ただ、料理シェフも、パティシエも、パン職人も、拘束時間が不規則で、厳しい仕事で、途中で辞める人も多いのは事実です。

世の中に必要な職であっても、職人の仕事は、フランスでは一般企業での勤務者より優遇されない過去がありました。

そこで、フランス文科省が職種の不均衡を改善する試みを続けているのです。

フランスのこんな国ぐるみで、技術職者を評価する動きは素晴らしいです。

MOFの文字がある看板のお店でパンやお菓子を買ってみてはいかがでしょうか。

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