2017年の年末に、フランスで若い女性が救急車を呼んだにも拘らず、オペレーターに電話を切られ、救急病院へ即搬送されずに死亡したことがニュースになりました。
フランスは欧州でも社会保障制度の先進国で、医療レベルも高く、ガンになったとしても治療費用の負担も心配せずに、治療に専念できる国です。
そんな国で、救急医療だけが上手く機能しないのでしょうか。
救急医療は一般の病院と違い緊急部署ですので、特別な連絡ラインが設定されおり、病棟でも救急扱いになりますので、一般患者よりも早く手当を施されます。
言葉が通じないとしても、病状を上手く言えない時があったとしても、『どのように電話をして、どのように依頼をするのか』救急患者として短時間で救急車が駆けつけてくれるように依頼したいものです。
電話のかけ方から、有料救急車の種類や搬送、そして費用のお支払いまで、丸ごとご説明したいと思います。
フランスの救急医療の構造と救急車の種類
フランスの救急医療を担っている機関についてですが、いくつか種類がありますが、大まかに
- SAMU (サミュ)
- 消防署 (ポンピエ)
- 救急病院
- 救急搬送車
となっています。
これらの救急病院と救急搬送が上手く機能して初めて、救急医療がなり立つことになります。
まずは最初に挙げました、サミュについて説明します。
サミュ(S. A. M. U.)の救急車
サミュは、フランス語で、Le service d'aide médicale urgente (S. A. M. U.)といって、救急医療サービスの意味で、頭文字をとって、サミュと言っています。
フランス全土の緊急医療を網羅している機関です。
緊急患者として電話をかけると、統括しているセンターに繋がり、そこから各地のサミュの分室へつながり、緊急患者の様態によって、救急車を走らせるかどうかが判断され、病人がいる場所へ救急車が迎えに行くようになっています。
センターに電話をして、医師に診断を仰ぐのは無料ですが、医師や看護師の派遣があると、そこから有料になります。
様態を告げると同時に『いま何処にいるか』を伝えることで、一番近いサミュの救急車が搬送先の受け入れ可能な救急病院を探して、救急車を送ってくれます。
ポンピエ(消防署)の救急車
医療機関のサミュの他にポンピエがあります。ポンピエは消防士(消防署の意味でもあります)のことです。
ポンピエの任務は救助です。
- 火事
- 救助
患者の様態によっては、病気の状態でも病院への搬送をしてくれます。
管理人は一度、ポンピエさんにお世話になったことがあります。
手術を受けて入院して、退院後2か月後に久しぶりにカフェで食事をしていました。食事中に具合が悪くなり、カフェを出る時に気絶をしました。
管理人は意識を失っていたのですが、倒れていた私を通りがかりの女性がちょうど見つけ、消防署へ電話をしてくれたのです。
それから暫くすると、消防車が来てくれました。途中で意識を取り戻し、電話をかけてくれた女性にお礼を言うことができましたが、その方は看護師でした。
それから、病院へ搬送されて救急医が治療をしてくれました。
サミュとポンピエの違いは、サミュには医師が乗車すると、医療行為ができます。ポンピエの救急車に医師が乗っていることは基本的にありません。
救急の場合に搬送中に医療行為ができるできないで、助かる助からないの差がでる可能性があるともいわれています。
救急病院
各町には、救急病院があります(統合された町に一つなどということもあり得ますが)。救急病院には、勿論救急患者の受け入れもありますが、一般の患者や、入院患者、外来の患者もいます。
サミュやポンピエは、救急病院へ連絡をとり、受け入れが可能かの問い合わせをして、搬送となります。しかし、もし自力で病院へ行けるようであれば、サミュの搬送なしで行っても、救急患者として扱ってくれます。 病院へ到着すると、看護師から容態を聞かれますので、その返答によりどのくらいの緊急度なのかが判断され、どのくらいの順番になるかが決まります。
サミュや救急車で搬送され到着して待っている時間が長ければ、そう緊急ではないと判断させたということです。あくまでも、より緊急な患者から処置されていくとなっています。
搬送車
搬送車は私立の会社もあります。入院患者が退院するときに、それぞれに病院で契約している、搬送会社の搬送車で患者を家まで送り届けるなどの業務を行っています。
サミュとの違いは、
- サイレンがない
- 救急患者を搬送しない
などです。
もちろん例外として、救急患者の搬送も医師の指示でおこなうこともあり得ますが、基本的に、入院して退院の際に、横になって搬送される必要があるなどで、タクシーでは帰れない場合などに使われますす。
では、救急患者としてサミュへどのように連絡をとれば良いのかを見てみましょう♪
緊急電話のかけ方と伝える内容
サミュへの電話のかけ方
サミュの電話番号は、『15』で、フランス国内のどこの県からかけても、15番です。
サミュの中央が管轄していますので、フランスのどこからかけても統括部署へ電話がつながります。
住所を伝えると各地域のサミュへ電話が回されます。
それから、医師が症状を把握して、どの体制で救急車をまわすか判断します。
通常は、救急医、看護師、運転手というケースが多いようです。
Une fois en ligne avec le Samu :引用先 https://www.hopital.fr/Droits-demarches/Vos-demarches/Les-urgences/En-cas-d-urgence-medicale-composez-le-15 ●病院のサイトですので、フランス語をそのまま引用しました。
- parlez calmement et clairement,
- donnez votre numéro de téléphone (certains centres ne disposent pas encore des moyens de l'identifier automatiquement),
- donnez votre nom et celui du ou des malades ou blessés,
- indiquez le lieu ou l'adresse exacts, ainsi que l'étage et le code d'accès éventuel,
- précisez le nombre de personnes à soigner,
- décrivez le plus précisément possible la nature du problème.
訳です↓
症状によって、救急器具が装備されている救急車を用意するかなどが決まってきますので、気が動転していても、なるべく正確につたえるようにしたいです。
救急病棟や、サミュへ救急コールをしたにも拘らず、電話対応してもらえなく、若い女性が死亡になったことが一昨年の5月に日本のニュースでも伝えられていました。
この事件は、フランスの東部のストラスブールに住む、22歳の女性(ナオミ・ムセンガさん)が、2017年の12月末にサミュへ電話しました。しかし救急車を搬送してくれずに、後ほど友人が電話をして救急患者として病院へ搬送されるたのですが、時遅しで死亡されました。
Les résultats de l'autopsie sont communiqués en juillet 2018 : Naomi Musenga serait morte d'une intoxication au paracétamol, absorbé pendant plusieurs jours par automédication6. 引用先 : ウイキペディア ナオミ・ムセンガ事件
日本の報道をみると、電話対応したオペレーターの女性がナオミさんの叫びを無視して、非人道的だとニュースになっていました。
オペレーターも含め、事件にかかわった人達の「事情聴取」が開かれ、ナオミさんがどのような背景で、痛み止めの薬を服用していたかが、少しづつわかってきました。
フランスのウイキペディアで書かれている文章では、「ナオミさんは、パラセタモール薬を何日も個人の判断で服用した」とあります。
今後の捜査で、彼女が一定量を上回る量を服用したかも解明されていくでしょう。
しかし、フランス語でその録音された会話を聞くと、勿論電話で、「お腹が痛い」と言っているのが、ふざけているのとも誤解されるような言い方になっていたことで、オペレーターに『ふざけた電話だ』と思われてしましました。
ふざけた電話は事実あるようで、オペレーターがそこを聞き分けるのが難しいと言われいます。
ですので、サミュへ電話をするときは、お腹がいたくてもはっきりと「どこが、どう痛いのか」を伝えるようにしましょう。
また、このサミュの搬送依頼ではなく、自宅に医師に来てもらえるシステムもありますので、それをご紹介します。
救急医(エス・オ・エス・メデゥサン)への電話のかけ方
夜中になると、ほとんど薬局も閉まっています。腹痛や、下痢、吐き気などがひどい症状では、薬局が近くても歩いていけない時もあります。
そんな時は、SOSメデゥサン(SOS MEDECIN)を呼ぶこをとお薦めします。
サミュは、医師や看護師が来て、病人を搬送してくれますが、このSOSメデゥサンは、自宅に医師が来てくれるだけです。
電話をかけても、なかなか通じませんが、10分も待つことがありますが、待っているとオペレーターが電話に出ますので、症状を伝えます。
『お腹が痛い』、『吐き気がしてもう何時間する』、『下痢になって動けない』などや、
『熱が○○度ある』など症状をなるべく正確に伝えます。
その時に来れそうな巡回している医師を探して、『30分で伺います』とか『1時間で伺います』など、医師の空き状況で派遣されるまでの待ち時間が違います。
はっきり、『痛いから医師を派遣してください』と伝えましょう。管理人は今まで医師の派遣を断られた事はありません。
伝える事は、
- 住所
- 名前
- エントランスコード
- 階数(何階か)
- エレベーターを降りて、ドアが右か、左か
それと、医師が注射など、痛み止めの薬をもっている医師を派遣してくれるように依頼するのがポイントです。
救急医が診断をして、処方箋を書いてくれても、痛みで薬局に買いにいけませんので、その場で医師が注射を打ってくれることで、痛みもとれる場合があります。
応急処置をしてもらえることで、朝まで薬を飲まなくて済みますし、朝になってましになってから、薬を買いにいけば良いのですから。
管理人は、今まで6回SOS MEDECIN(SOSメデゥサン救急医)に来てもらいましたが、一人の医師は、薬を持っていない医師でした。胃が痛くてたまらないのに、症状を診断してもらったのは良いのですが、鎮痛剤も打ってもらえずあまり意味がなかったのです。
今年になって救急医に来てもらったときの診断は、「ガストロ」でした。
ガストロは日本ではあまり馴染みがない病気ですが、フランスでは大人も子供もかかってしまう、消化管の炎症です。
嘔吐(おうと)、悪心、腹痛、関節痛、頭痛などを感じて、急な下痢などもあります。消化器系の症状が表われます。熱も38度などになり、疲労感もあります。
冬には特に流行します。ウィルスによる感染が多いということですので、病院で患者さんから感染したり、食べ物から細菌で感染することもあるという事です。
フランス語で「gastroentérite 」や「grippe intestinale」と言われています。
予防策としては、手を洗うこと、食材を調理する際に良く洗い、火を通すなどです。生肉などの「カルパッチョ」などは、衛生面に気を付けることです。
下痢になると脱水症状がでますので、水分を多く摂るようにします。乳児やお年寄りだと、脱水症状のため数時間で死に至る危険もあるので注意が必要です。医師の訪問時に症状を伝えましょう。
管理人は、その日、この「ガストロ」で抗生物質の注射をしてもらって、やっと眠ることができました。
またSOSメデゥサンは、お医者さんが帰る際に、小切手や現金やカードでお支払いをします。パリで夜間で70ユーロ位です。
医療保険に加入していれば、保険でカバーされます。
緊急電話番号まとめ
サミュ 15
ポンピエ 18
SOSメデゥサン 01.4707.7777
SOS小児科医 01.4003.2273
SOS歯科医 01.4336.3600
緊急の場合の連絡先の電話番号です。それぞれの分野の専門家が来てくれます(^^♪
まとめ
いかがでしたしょうか
急に痛みがくることは、たまにあります。
普段食事にもきをつけたとしても、やはり外出先で、感染して発熱ということもあります。
そんなときは、
- サミュ
- ポンピエ
- SOSメデゥサン
に連絡をとることで、緊急な状態でも最悪の状態から救われることがあります。
どこかにメモをとっておいて、いざの時には、電話ができるようにしておきましょう。