フランスのノートルダム大聖大聖堂でこの4月15日に大規模な火災がり、尖塔と屋根部分が全て焼失してしまいました。
ノートルダム大聖大聖堂は、今から約850年前の1250年に建造され、ナポレオンが戴冠式を行なった場所で、1991年にユネスコの世界遺産に登録されてもいます。
フランス人にとって象徴的なゴシック建築の歴史建造物で、ステンドグラスの美しもあり、パリのエッフェル塔やルーブル美術館とともに、パリの観光名所です。
今回の火災で建物がほぼ焼失したことで、再建に向けて異例な速さで資産家も含め一般市民からも寄付金も集まっています。
現在再建へ向けて焼失した尖塔の建設公募もされました。と同時に、失火原因の特定も検察庁が行っています。
再建には莫大な費用と時間がかかると予測されていますが、マクロンさんは、5年での再建したいと意気込んでいます。
この5年の期間限定はどういう意図なのか、また政府の対応についてまとめてご説明します。
パリ・ノートルダム大聖堂の再建
毎日約3万人の観光客がやってくる、856歳となった歴史的建造物のノートルダム大聖大聖堂が火事に遭いました。
屋根が焼け落ちたノートルダム大聖大聖堂
ノートルダム大聖大聖堂はパリのシテ島に位置するカトリック教の大聖堂で、全長127.50m、身廊の高さは32.50mのゴシック建築を代表する建物です。
フランス語で「Notre dame ノートルダム 」は、私たちの貴婦人という意味で、聖母マリアのことを指します。
この4月15日の火災で屋根が全部と矢印で示した屋根の尖塔が崩落しました。

大聖堂の裏側か見ても骨組みしかないのが分かります。

ノートルダム大聖大聖堂は2013年から修復作業が続いており、作業が失火の原因ともいわれていますが、火災がある前に、火災報知器が作動して、見まわりをした際には火は確認されなかったということです。
その後火が大聖堂を覆い800度まで温度が上昇し、消火活動は困難を極めたことは間違いないようです。
不幸中の幸いに、必死の消防士の救助活動で、寺院に保管されていた文化財・美術品の損失は全体の10%にとどまったといいうことです。巨大なパイプオルガンも無事避難されました。
消火活動にあたった消防士さん他、警察官の約250人は、4月18日にエリゼ宮に招待を受け、労をねぎらわれました。
とはいえ、世界遺産の大聖堂の修復工事や消火活動の仕方が適切だったのかと疑問点もあります。
修復工事と消火活動への疑問
火事は4月15日の19時に確認されました。
【消火活動】
パリ検事総長(Rémy Heitz,エミ・エイツー)によると、18時20分に火災報知器が作動した際には、火は確認されなかったということです。
数日前には火災訓練も行われていたこともあり、ミサが行われていましたが、13分後に火が確認されてから1500人が出口に誘導され、救出されました。
大聖堂の内部が木造になっている構造上、18時50分には瞬く間に火が内部を覆ったということで、完全に火が消えたのは、翌朝の10時ということです。
火災報知器は、大聖堂の内部に何か所も設置されおり、1日3回の見まわりを行っていますので、それ以上の措置もやりようがないともいわれていましたが、木造の内部構造では、火災報知器の設置場所やその仕方が微妙に適切でなかったとの指摘もありました。
消火については、セーヌ川の水をポンプで引き込んで大聖堂へ放水するというものでしたが、それに手間取ったということです。空中からの放水は、パリという過密都市には向かないということで、見送られたということです。
A la rencontre de "Colossus", le robot des pompiers dans la fournaise de Notre-Dame https://t.co/0p930wjI1M #AFP pic.twitter.com/7s5hL2sTFd
— Agence France-Presse (@afpfr) 2019年4月16日
消火活動はもちろん消防士さんが行いましたが、ロボットも活躍しました。これらのロボットは今や消火活動には威力を発揮すると言われています。
【事情聴取】
15日に修復工事に携わっていたのは5社と、約15人の工事従事の職人さんでしたので、犯罪の可能性も含めて事情聴取が行われたということです。
また、消火のため放水をうけた大聖堂が、今後乾燥してから建物がそのまま立っていられるかなど、疑問が全くないというわけではないといいことです。
復興に要する期間と寄付金
焼け落ちた屋根の尖塔も含め、大聖堂の再建するのかはやくもいくつかの再建計画がでています。
フランスも含め世界中の国へ建設公募がされました。
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マクロンさんが5年にこだわる理由
マクロンさんは、大聖堂の火災のインタビューで再建期間を5年と言っていましたが、専門家は5年は楽観的と言っています。
マクロンさんには、現在ジレジョーヌ問題が重くのしかかっています。5年というのはかなり問題があり現実的ではないと言われる中、予定されている2024年のパリのオリンピックに間に合えば、オリンピック観戦に訪れた観光客へのアピールとなるのは間違いありません。
現在は消化による放水を受けた大聖堂は、燃焼と放水でどのくらいダメージがきているかの予測がつかないということと、放水でカビの繁殖が進むとのことです。
歴史的建造物に指定されているが故に、修復作業には明確な規定があります。それぞれの専門職をフランス中から集めないといけなく、作業する人員が十分いないと修復作業も進みません。
また、焼け落ちた尖塔をそのまま再現するのかについては、フィリップ首相はもっと現代風にしてもいいような発言もしています。
ルーブル美術館の敷地にある、「ピラミッド」も作られた当初は、失敗だとも、ルーブル美術館にはそぐわないようないとも言われていました。
募金は順調に集まっています。
ノートルダム大聖大聖堂への寄付金額
有名資産家もこのノートルダム大聖大聖堂へ多額な寄付をしました。
グッチ(GUCCI)やイブ・サンローラン( Yves Saint Laurent)を有するケリング社の会長兼CEOのピノー氏が、1億ユーロ(約126億円)を、ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)やディオール(Dior)を有するLVMHのアルノー氏が、2億ユーロ(約252億円)を寄付すると表明しました。
その他長年フランス一の資産家と言われていた、ロレアルを有するベタンクール家、製薬会社のサノフィなどはもちろん、資産家でない市民からも募金がありました。
NOP法人を通して、この3日ですでに、80万ユーロが集まり、現在、総額10億ユーロ(約1,257億円)がすでに集まったということです。
ノートルダム大聖大聖堂への市民の愛はさすが前例がないほどです(^^♪
募金が集まることには文句はなくとも、節税対策にもならない寄付金をノートルダム大聖大聖堂へポンとできるなら、なぜ他に貧困に苦しんでいる市民へ寄付をしないのかとの批判がでているのも確かです。
フランスでの貧困問題は依然解決されていない問題です。家がないこと、3か月ごとに仕事を探さないといけない人達には、寄付をしないで、歴史的建造物への復興にはお金を惜しまない考え方には、批判がでています。
ジレジョーヌのデモは、終わらないどころか、寄付金問題はデモに拍車をかけることになってしまいました。
フランスで、カルロス・ゴーン容疑者のような経営者もそうですが、労働者との貧富の差がどんどん開いています。
文化遺産を大事にする市民としても気持ちは大事ですが、税制優遇措置で儲ける人は、もっと儲ける仕組みを野放しにしている、いままので政権、マクロン政権への批判は止みません。
【再建前の大聖堂が人気】
修復前の屋根がない大聖堂が今人気スポットです。現在は観光バスも含め、屋根のないノートルダム大聖大聖堂を見に、観光コースが変更されバスでの観光が流行っています。(^^♪ お土産やさんは、かつてないほどの盛況ぶりのようです。
まとめ
いかがでしょうか。
毎日約3万人の観光客が来るという、ゴシックの最高峰にあるノートルダム大聖大聖堂の火災と再建ついてまとめましたが、現在はまだ正確な損害額については未知数です。
マクロンさんが5年で再建する意向をはっきりしたメッセージを伝えましが、放水後の建物の強度も現在はわかっていません。
そんななか、世界的な文化遺産になっているからこそ、フランス人市民の愛着で再建に向けて募金が集まっています。
火災後に、文化遺産であるがために、今までの火災に対する措置の不十分さも指摘されていました。
この火事で現在観光客数が以前より伸びているという皮肉な状況ですが、今後、どのように大聖堂が生まれ変わるのかに関心が集まっています。
どのようにノートルダム大聖大聖堂は生まれ変わるのでしょうか。またマクロンさんの不人気はもっと拍車がかかるのか、パリオリンピックの5年後までに、修復は終わるのでしょうか。