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アマゾンCEOジェフ・ベゾスの結婚式がベネチアで歓迎されないわけ





2025年6月、AmazonのCEOジェフ・ベゾスさんとジャーナリストのローレン・サンチェスさんの結婚式がベネチアであります。

おめでたいのですが、ベネチア現地住民による激しい抗議活動が展開されていています。 「No Space for Bezos(ベゾスに場所はない)」と。

これは単なる一つの結婚式への反対でく、構造的問題の象徴です。

アマゾンCEOジェフ・ベゾスの結婚式

億万長者ジェフ・ベゾスの結婚式

ベゾスさんの結婚式は6月24日から26日にかけて3日間開催される予定です。

約200人のセレブが招待されており、ゲストリストにはオプラ・ウィンフリー、ケイティ・ペリー、キム・カーダシアンなどが。

そして、総費用は数百万ドルに上るとも。

経済効果が抜群なので、ベネチアも喜んでいるのかとおもいます。事実結婚式用品の約80%をベネチアの地元業者から調達すると発表されているのですが。

しかし、住民の反応は冷ややがで、抗議団体「No Space for Bezos」のメンバーは「ベネチアがベゾスの結婚式場としてではなく、オリガルヒ(富豪)に屈しなかった都市として記憶されるようにしよう」と訴えているのですね。

ベネチア住民が反対する理由

彼らの怒りの矛先は、結婚式そのものよりも、それを歓迎するルイジ・ブルニャーロ市長の姿勢に向けられています。

市長は「非常に誇らしい」「ベネチアが世界の舞台であることを再び示している」と述べ、抗議を「恥ずべきこと」と非難した。

この結婚式を歓迎しないのかは、観光公害の影響は住民の日常生活に深刻な打撃を与えているからです。

ベネチア観光公害の深刻な実態

ベネチアの観光問題は他の観光都市とは比較にならないほど深刻です。

住民の生活を脅かす観光化

ベネチアは人口約5万人のこの小さな都市です。

そこに今でさえ、年間2000万人もの観光客が押し寄せています。

それも面積わずか5平方キロメートルの歴史地区では、繁忙日に12万人もの観光客が狭い路地と運河に溢れかえるのですね。

これは、パリ(面積約105平方キロメートル、年間4750万人の観光客)と比較しても、密度の異常さが際立っています。

最も深刻な問題は、観光客の80%が宿泊したいで、日帰することで、宿泊費を現地で落とさないことです。

クルーズ船や近隣都市から朝到着し、夕方には去っていく。一日で最大44,000人のクルーズ客が押し寄せることもあり、これらの「ヒット・アンド・ラン」観光客は混雑だけを残すことになっています。

つまり、地元経済への貢献は限定的で、日帰り客は全観光客の73%を占めるが、観光経済への貢献はわずか18%に過ぎないということです。

住民の減少と生活コスト

観光公害とも言える深刻な打撃を与えている観光問題です。というのも、人口の激減で、1970年代に175,000人だった住民数は現在50,000人以下まで減少しており、2030年までに常住人口がゼロになる可能性も指摘されていていること。

この人口流出の背景には、観光業による生活コストの急激な上昇。

不動産オーナーは長期賃貸よりも観光客向けの短期賃貸を選ぶため、住宅供給が枯渇し、家賃が高騰していています。

ベネチアでは住民数より多くの観光用ベッドが存在するという異常事態になっている。

また、地元商店は観光客向けで、住民が日常的に利用するパン屋や食料品店、コミュニティサービスが少なくなっています。

雇用も観光業以外での就職がほぼ不可能となり、多様な職業選択肢を失った若者たちが市外へ流出している。

ベネチア以外のイタリア都市

同じイタリアでも、ベネチアの状況が特異です。

観光客の行き先と他の都市

他の観光都市と比較してみると、ローマ、フィレンツェ、ミラノも観光税を導入しているが、これらは観光収入の確保と管理が目的で、ベネチアのような入場制限とは性格が異なっています。

ローマは約1,287平方キロメートルの広大な面積を持ち、政治・行政の中心として多様な経済基盤がある。ミラノは金融・ファッションの中心で製造業も盛んです。

フィレンツェも工芸業や製造業という観光以外の産業を維持している。一方、ベネチアの経済は観光業にほぼ完全に依存しており、この脆弱性がコロナ禍でありました。

地理的制約も決定的で、水上に建設されたベネチアです。 観光の拡大は直接的に交通・観光用ボートの増加がマスト、限られた空間に観光客が集中しています。 他都市のように郊外への分散や代替ルートの設定が困難だからです。

解決策への模索

ベネチア市は2024年4月から世界初の日帰り観光客向け入場料制度(5ユーロ)を導入しています。 専門家からは「大きな需要に対して効果は限定的」との声が。 より根本的な解決策として、観光の「質的転換」です。

実際のところ、理想的なのは、1ヶ月間のバカンスを過ごすような長期滞在観光客がくることです。

このような観光客は日帰り客30人分以上の経済効果をもたらすとも。

時間に余裕があるため混雑時間を避けて観光できるなど、また、地元のスーパーマーケットや住民向けレストランを利用し、観光地以外の住宅地域も訪れるため、住民との共存が可能になるからです。

ジェフ・ベゾスさんの氏の結婚式問題は

ベゾス氏の結婚式問題は、ベネチアが直面する根本的なジレンマを浮き彫りにしている。観光業はイタリアGDPの13%を占める重要産業であり、ベネチア経済の生命線でもある。しかし、現在の大量消費型観光は都市の持続可能性を根本から脅かしている。

市政府には住民の声に耳を傾け、短期的な観光収入の最大化から長期的な都市の持続可能性へと政策の軸足を移すことが求められている。具体的には、住民の住居確保、観光業以外の産業育成、文化・伝統の保護、環境負荷の軽減、そして観光客数の適切な管理が必要だ。

【べゾスさんの潔より離婚の慰謝料はこちらの動画↓】

まとめ「水の都」ベネチアが直面している危機

ベネチアの状況は、世界中の人気観光地にとって深刻です。 観光収入の魅力に目を奪われ、住民の生活に問題ができ、それでいて観光収入にもならないとうことです。

「水の都」ベネチアが直面している危機は、観光客数の割に住民数との非合理な釣り合いです。

観光は本来、異文化理解と経済発展をもたらすのですが、ベネチアでは文化的遺産を危険にさらすことになっています。

観光業界全体が考えるべき重要な問題で、観光客、観光業界、そして行政解決しないと、街が危機に瀕します。

べゾスさんの結婚式で、ベネチアの観光取り組みが加速される機会となったともいえます。

www.franceinfos.xyz

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