オランド前大統領の不人気と支持率の低下に関して、政策が素人的など、批判で造語もできたほとです。
任期中の5年にできた造語にはいくつかありますが、有名どころで、
マトラシュフィスカル
ラルボルフィスカル
などです。
最初の「マトラシュ・フィスカル」が税金こん棒(税金を払えとこん棒で殴られるというたとえです)
2番目の「ラルボル・フィスカル」が、税金はもううんざり。
ということで、経済的なものからでした。
オランド前大統領の支持率低下

- マトラシュフィスカル(警察官のこん棒での、税金こん棒)
- ラルボルフィスカル(税金うんざり)
これらの言い方は、サルコジ政権の際は言われなかった造語で、オランドさんの在任中に言われた背景には、社会党の政策にもかかわらず、税収を庶民や低所得者層に払わせる結果になったからです。
その結果、オランドさんは2期目の大統領選の出馬を断念し、中道派といわれる、マクロンさんが選出されました。
何十年も続いた、左派と右派の2大政党が有効な政策を打ち出すことができなく、国の借金が増え、失業率が増える中、オランドさん所属の社会党は支持率を失っていきました。
高所得者層への高課税政策
社会党のオランドさんは、高所得者から税金を徴収し、低所得者へ分配するという、典型的な社会党的政策を打ち出そうとしました。
それが、1億円以上の高所得者層への高課税政策でした。
2012年5月の当選時には評判もよく、期待感が高かったのは確かでした。
- 打倒高所得者、
- 打倒高所得会社
と選挙戦では声高に言っていたのです。
実際に1億円以上の高所得者に対しては、75%の効果税をすると、選挙公約を実行しようとしました。
そこまでは良かったのです。
高所得者への税率を変え、1億円以上の収入の課税率を45%から75%に上げるという公約を実行しようとしました。
驚いたのは、勿論高所得者です。
サッカー選手と、アーティスト、俳優などの高所得者です。勿論大手企業の役員もです。
高所得者は贅沢をしているのかもしれませんが、その前にまず45%の納税していました。
そこで、実際に75%の課税を実際にすることを知り、
『これだけ納税しているのに、まだ課税をするの?』それなら、フランスにいるのは止めて、海外に行こうという動きがでました。
フランスは陸地ですので、隣国になりますが、ベルギーやスイスへ行く高所得者が出始めました。
首相の手腕不足
オランド政権時に就任時首相に抜擢された、地方都市(ナント市)の市長だったエロ-(ジャン・マルク・エロ-)さんは、この課税利率アップを断行しようとしました。
エロ-さんは、首相としてオランド大統領の公約を果たそうとしただけです。
税収の均衡をめざし高所得者の方々も払って下さいと言っていたのですが、75%なら国外に行くと名乗り出たのが、あの有名な俳優、ジェラール・デパラデゥーさんでした。
それを受けて、閣僚経験がない、首相になりたてのエロさんが、デパラデューさんに対して『ちっぽけな態度』と応酬してしまいました。
これは波紋を呼びました。
このような高額納税者は、それだけ国のため貢献しているという意識があります。
税率が75%にもなれば、デパラデューさん以外にも、サッカー選手や他の高所得者も国外へ出ると言い出すのは目にみえていました。
ジェラール・デパラデゥーさんは、暫く応酬ぜす時期を見て、2012年の12月15日の「JDD日曜日新聞」で応酬しました。
「え?オレがちっぽけだと???」と。
新聞でのデパラデューさんの応酬の内容は、
「私は、1948年に生まれて14歳から働いている。数々の映画の評価作品にも出演している。義務を怠ったことはない。
2012年には所得の85%を税金として払った。私の人生で納税金額は45年で1,5億ユーロ(約170億円)だ。
加えて、会社も作り、そこで80人の従業員も雇い。。。その私をあなたはチッポケというのか???」と。
日曜新聞(JDD)に掲載するのは効果的な応酬でした。
そしてフランスを脱出して、お隣のベルギーに行く際に、「パスポートと今まで使うことのなかった社会保険カードをお返しします。」
と言ってベルギーに引っ越しをしていきました。
行先は、フランスから10キロ離れたベルギーの片田舎でした、そこでどのくらいの期間過ごしていたのかはわかりません。
その後、ロシアのプーチンさんが、ジェラール・デパラデゥーさんへ、
「それなら、名誉市民としてロシアへお越しください」ということで、さらに引っ越ししたようでした、そのへんは定かではありませんが。
贅沢をしてい人たちに納税して貰うのは良いのですが、高所得者がフランスを出ていってしまうと、納税する人が少なくなってしまいます。
結局貧しい人が、もっと払うことになって、「結局、この税政策ってよくないんじゃないの?」という意見もでてきました。
憲法評議会の異議
オランドさんは、なにせ社会党の名において、高所得者層にもっと納税してもらって、低所得者層に再配分するという、選挙公約を実行したかったのですね。
ところが、憲法評議会が、この法案おかしいのでは?と意義を唱えました。
元々の彼の案は、 「1億円以上の高所得者層への75%」の課税でした。
フランスの納税は世帯単位です。夫婦で奥さんと旦那さん二人の収入で納税します。
となると、
① 9千9百万と9千9百円と合算で、約2億円の場合と、
② 1億1千万円と、9千万円の合算で約2億円とすると、
すると、①の夫妻は課税されないで、②の夫妻のみが課税されてしまう。
また、③として、単身者で1億2千万の収入者の場合は
一人で一億円以上で課税となって、①の2億の夫婦の収入には課税されなく、
『課税の不平等』と判断しました。
とあっけなく、憲法評議会に異議を唱えられ、取りやめとなりました。
掛け声は良かったたのですが、取りやめとなり、オランド政権のやることは
『アマチュリスム(アマチュアな)』 と言われました。
高所得者に焦点をしぼった課税制でしたが、狙った税収は、対象者数が1500人でした。
全ての高所得者が国外に出たわけではありませんが、税収が減りました。
打ち出した政策の結果だけをみて、批判をするのは簡単ですが、費用対効果という意味でどうだっかということです。
デパラデゥーさんと応酬した、前首相は人気は盛り返すことはなく辞任へと追い込まれました。
オランド政権が、ここでもアマチュアリスムと批判を買ったのは、選挙公約をしたのだから、準備はしていたはずなので、なぜ最高評議会に指摘されないように準備しておかなかったの?
と、徐々に信頼を失っていったのでした。
今日の単語
行き過ぎた税金徴収( la matraquage fiscale)
税金うんざり ( le ras-le-bol fiscal )
税金逃亡 ( l'exile fiscale )
チッポケ ( minable )
アマチュリスム ( l'amateurisme)