ジレジョーヌのデモもなんと「アクト5」まで行ってしまいました。つまり5回もデモがあったということです。
世界中のテレビで、大々的にシャンゼリゼ通りのデモの中、自動車の炎上などのニュースになったのが、12月1日土曜日のアクト3でした。
その後、マクロン大統領がテレビ演説を行い、最低賃金者への給与アップ、燃料税の値上げ廃止、年金生活者への税金の引き下げを盛り込み案をジレジョーヌへ伝えました。
しかし、依然ジレジョーヌは「デモを続ける!」と頑として姿勢を変えていません。
そこに、警察官や機動隊員もジレジョーヌと同じように、デモを始め「ジロブルー」になってしまいました。
ここまでデモが止まないには、マクロンさんが言った給与アップ案が、「俺たちをバカにしている」と思わせたことです。いままで、恨みを買ったマクロンさんの一言もまとめました。
どんなものなのか、早速見てみましょう(^^♪
ジレジョーヌがフランスでデモを続ける理由

ジレジョーヌになっている人達がここまで多数に膨れ上がり、納得できない心情には、マクロンさんがその心情を理解してくれていないという思いがあるからです。
ジレジョーヌがマクロンさんの提案に納得しない理由
ジレジョーヌはマクロンさんが提示した、優遇措置にも耳を傾けません。そのくらい生活が困窮しているのは確かです。
別記事で、ジレジョーヌに参加しているフランス人について説明しています↓。
4回目のデモ(アクト4)が終わり、いままでジレジョーヌの怒りに対応してこなかったマクロンさんが、12月10日月曜日の夜8時にテレビ演説をして、
「今まで、皆さんのことを軽んじていたわけではありませんでした」といって、政府から緊急に生活に困窮している人達に対して、緊急対応策を提示しました。
- 燃料税の値上げを廃止
- 給与(最低賃金の値上げ)
- CSG(一般社会貢献税)の値上げの廃止
来年2019年初めから燃料費の値上げの予定でしたが、取りやめになりました。
それに加え、フランスで最低賃金を受給者に、毎月100ユーロをアップすると発表したのです。
この措置は、歴代大統領はここまでの、アップはしたことはありませんでした。
管理人もこれを聞いて、ここまでの措置をするなら、ジレジョーヌも納得すると思っていたのですが、怒りはおさまりませんでした。
「バカにしている」と感じさせたからくりです。
アップされる100ユーロが給与アップでないからくり
12月10日のマクロンさんがテレビ演説して、だれもが最低賃金の受給者は2019年1月から100ユーロの給料アップになると思ったはずです。
ちなみに、2018年のスミック(SMIC 最低賃金)をみてみますと、フランスの税務署のサイトでは、1498,47ユーロ(日本円で約19万5千円)です。
100ユーロは6.7%のアップして、1598,47となります。
Le nouveau montant du Smic brut horaire sera donc porté à 9,88 € au 1er janvier 2018 (contre 9,76 € depuis le 1er janvier 2017) soit 1 498,47 € mensuels sur la base de la durée légale du travail de 35 heures hebdomadaires. 引用先 フランス税務署
この仏税務署のサイトでも書かれていますが、例年の給与上昇率は、約1%です。
ですので、マクロンさんがどのくらい善処したのか、わかると思います。
ところが、この100ユーロの上昇の内訳が給与アップではないことが、演説の内容をよく聞くとわかりました。
"Le salaire d'un travailleur au smic augmentera de 100 euros par mois dès 2019 sans qu'il en coûte un euro de plus pour l'employeur", a déclaré le chef de l'Etat. 引用先 メディアパール
このマクロンさんの演説を聞いて思ったのは、「最低賃金で働く人が2019年から100ユーロ多く貰える、しかし雇用者負担は増えません」とは?なんか変だと思いました。
給与は税込みの金額ですので、雇用者の会社側は、社会保険料などを負担します。つまり、雇用者負担がないというのは、つまり、給与上昇ではない形で、国がお金を出すとう意味だったのです。
それも、お金の出し方が、失業者が支給してもらう、RSA(失業期間がない人への手当)を払う金庫(CAF)からお金を振り込むという、なにか訳が分からないような支払いの仕方です。
給料であれば、健康保険や年金の支払いがあり、長い目でみると得なのが、CFAからの振り込みは不利です。
それも、マクロンさん在籍中のことで、政権が終われば、この支給もストップします。
ジレジョーヌとしては、きつねにつままれたとしか思えませんでした。
ここで、「誠実ではない」という怒りが出てしまいました。
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ジレジョーヌには指導者がいる?
この100ユーロアップは、それでも過去の政権に比べればましなのではないかといって、デモを止める人達もいました。
しかし中には続行と訴えているいるリーダー的な人がいます。
その中で、マキシマム・ニコルさんがいます。
この動画では、インタビューに答えていますが、一人のお子さんがいる現在31歳の男性です。
ニコルさんはフェイスブックで支持者を多く持っていますので、デモ参加には影響力を持っています。SNSという現代の市民の武器を使ったリーダーです。
マクロンさんの怒りを買った発言
デモの続行については、民主的に庶民が、「最低限の生活ができるようになるまで」と言っています。
しかし、デモの続行をするあたって、ニコルさんは、「マクロンさんが、言いたいことがあれば、言いに来い」と言ったからデモを続けていると言っています。
このマクロンさんが言ったこととは、
しかに、現在フランスは第5共和政です。フランス大統領を国会の公聴会へも喚問はできないシステムです。
誰も自分を椅子から引きずり下ろせないことを知った上で、「言いに来い」と言っていました。
それが「あだ」となり、ニコルさんのようなジレジョーヌが、言いに来たということです。
その他に、失業者が働かないから、国が失業保険を払い続けないといけないことを、「pognon de dingue とんでもないお金」といって、失業者がお金のかかるとんでもないやつのような言い方をして、ネットで流しました。
失業者が、さも仕事を探さないで、失業手当をもらっているとなじったのです。
警官隊員と機動隊員がジロブルー化
逆風が吹くと、ありとあらゆることが、マクロン政権には障害になりますが、これまで5回ジレジョーヌのデモがありました。
機動隊員や、警察官さんたちが、ずっと街の警備や、デモの封鎖などにあたってきました。
土曜日も日曜日も要請があると、デモ参加者たちの行動を鎮静化していました。ジレジョーヌのデモが毎週土曜日にはありましたので、内務省の要請で出動していましたが、残業代も払われていません。
怒る警察官や機動隊員は「ジロブルー」という名前で待遇の改善を要求しています。
ジレジョーヌの参加者とおなじく薄給な上に、残業代を払わないのには、もう我慢ができないといって、この12月18日から幾つかの警察署は閉鎖されています。
警察官は、内務省の管轄ですので、カスタネール内務大臣が、一人300ユーロの緊急支給をすると発表していましたが、それで怒りが収まるわけがないです。
機動隊員の人達は責任感が強い人達で、市民の警護はしてくれるはずですが、緊縮財政のなか、警備備品なども自分で払っている人もいるほどです。
それが、300ユーロで足りるはずがありません。
いままでの残業代をどのように払うのか、内務大臣の腕のみせどころですね。
まとめ
マクロンさんは勉強もできて、エリートコースをまっしぐらに進んできた人です。
そのため失業者や、お金がない人がどうしてそのような状況になるのかを理解できていないことで、馬鹿にするような発言が多く、市民の怒りを買ってしまったのが良くなかったですね。
発表された12月10日のマクロンさんの、優遇措置策はキャンセルとなり、いま政府であたらしい優遇措置を検討しています。
7月の段階で、べナラ事件にたいしておとなしく謝罪して、非を詫びていればここまでジレジョーヌのデモもエスカレートすることもなかったかったはずですし、警官隊や機動隊員がジロブルーになることもなかったのでしょう。
まだまだ目を離せない状況です。