人気ミュージシャンのGACKTさんが、フランスのレストランで店員から人種差別的な扱いを受けたというニュースが流れたのは、確か2015年の春でした。
『フランス人は日本人差別をするのか!』とかなり大きな話題になったので、覚えている方もいらっしゃるかと思います。
簡単に言うと、そのレストランでは明らかにアジア人の席と白人の席を分けていて、GACKTさんは店側の指示で、景色の悪いアジア人の席に座らされたと・・そんな話だったようでしたが。。。
私は、パリに暮らして10余年になりますが、言われるほどの日本人差別を感じたことはありません。
ただ、差別があるというのは聞きます。
では、それはどんな場面で、また日本人の態度に何か問題があるのでしょうか?
GACKTさんの話や、私のフランス生活で実際に感じたこと、思うところをお話ししたいと思います。
フランスで日本人の差別はあるか
ではまず、フランスで日本人の差別はあるのか?ないのか?です。
一般によく言われている『フランス人の差別』は以下の3点ではないかと思います。
- フランス語を話さないと聞かない
- 店員さんの態度が横柄に感じる
- 嫌なことがあれば露骨に表現する
これについて、私なりに答えを言うならば、「思い当たるふしはある」が、差別でははないと思います。
これは長年フランスで暮らしている実感です。
もちろんフランス人にもいろんな人がいます。中には差別的な思想を持っている人もいます。
ですが、大多数レベルでは決して差別的ではありません。
私自身、日本人だということで差別されたと一度も感じたことがないのです。
上記の3点については、私は主にフランスの考え方、そして国民性によるものだと思っています。
フランス人にはフランス人特有の考え方があります。それを理解しなければやはり嫌な顔もされますし、嫌みも一言も言われるでしょう。
その時にうまくユーモアで返すことができると、差別とは感じないはずです。
ここでは、語学力が関係していますし、フランス人の特徴を理解できないことで起こる事と思っています。
詳しくは後の章でお伝えしたいと思います。
差別があるとすればどんな時なのか?
前章で『フランスで日本人の差別はない』『それは彼らの習慣や国民性の無理解によるものだ』と書きました。
では差別は本当に全くないのか?と聞かれると、微妙な部分があることはあります。
主として『特権階級の特別意識』『移民排斥による差別』の2つです。 この章ではそれらについてお伝えしたいと思います。
『特権階級のフランス至上主義的』については、 フランスにも社会的地位の高い層や資産家が一定数います。彼らは特権意識も強いし、フランス至上主義的な傾向もありです。
そういう人たちの中には、他人を見下したり、差別する意識がないとは言えません。
私は幸いそういう人たちからも差別を受けたことはありませんが、難民などの受け入れには、差別的なことは確かにあると思います。
事実ルペン党首率いる「フランス国民戦線」という政党がありますが、フランス大統領選挙選(2017年)には、国内産業の振興と国境を封鎖する移民受け入れを拒否する思想で一気に勢力を伸ばしました。
「フランスの失業率が高いのは移民のせいだ」を スローガンに、今も一定の支持を得ています。
彼らと思想を支持する人たちは、低所得者層で「税金を移民の受け入れにつぎ込まないで、予算はずっとフランスで労働してきたフランス人に回せ」と言って、外国人の受け入れには関して冷ややかです。
2017年の大統領の選挙の際は、フランスにいる日本人に中には、「ルペンになれば国外に退去しないと」と思っていた人も多かったと思います。
差別感情がないと思う理由
上の章でお伝えしましたように、差別的になる人が全くいないわけではありません。
ですが、それでも私はフランス人は差別感情がないと思います。
その理由の一つは、私の周りの大勢のフランス人たちを見て、誰も全くそういう感情がないからです。 知る限り誰一人として、そういう人はいませんし、むしろシリアなどの難民の受け入れは、フランスとしてするべきと言っています。
二つ目のとして、テレビなどを通じてみても、そういう人種差別発言のようなものがあれば、人種差別の騒動が起きたとして、翌日にはテレビで叩かれます。
「フランス国民戦線」のようなものはありますが、それは一部の人です。
三つめは、私の旦那さんが言っていることですが、旦那さんはフランス生まれのフランス人です。
彼の言葉を紹介します。「フランス人は日本人を差別する理由がない!清潔、礼儀正しい、税金も納めている人が差別を受ける理由がない」と言っています。
事実日本企業はフランスでフランス人を雇用しています!
もちろんフランス人も十人十色です。何パーセントかは差別的な考えを持っている人はいると思います。 しかしそれはほんの僅かだと思います。
それくらいの比率なら、日本人にも多民族を差別する人はいると思います。 ですが日本人全体として、差別的ではないと私は思います。 それと同じではないでしょうか。
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フランス人と日本人の考え方の違い
冒頭にも書きましたが、差別されたと感じるのは、フランス語の言い方もあります。
よく言われる以下の3点について、私なりに考えてみたいと思います。
- 1.フランスの店では店員の態度が悪い
- 2.フランス⼈は露⾻に嫌な顔をする
- 3.フランス⼈はフランス語を話さないと聞かない
まず1のフランスの店では店員の態度が悪いについては、
例えば
●レストランやカフェで注文をすぐ取りに来ない
●順番を待っていたのに、後ろの人に先に注文を聞いた
ということが言われたりします。
これらの多くは、フランス人の店員には『客も店の人間も同等』という意識があることが原因です。 フランス人は新入社員でも上司に「へこへこ」しませんし、日本人的な「お客様は神様です」という意識はありません。
休む時は休みますし、必要以上の仕事はしてくれません。日本でどこでもあるようなおもてなしサービスはないものと考えてください。
レストランで席を特定のところに案内されるのも、その店なりの都合がある事が多いです。順番待ちを間違えられるのは良いことではありませんが、 混んでいる時など間違えることもあると思います。そこは理解してあげて欲しいと思います。
2のフランス⼈は露⾻に嫌な顔をするについては
●お店で商品を選んでいると、面倒くさそう、嫌そうな顔をされた
●お店で「もうありません」の一言で片付けられる
というのもありました。私の知っている限り、日本人なら露骨に嫌な顔をするということはないように思いますが、フランス人は、疲れたり嫌な気分だったりすると案外ストレートに表現します。また、相手に嫌な気分にさせられた時もそれを隠そうとしないということがあります。
また、基本的に「主張するのが美徳」と考える文化で、日本の「控えめが美しい」というのとは対極的です。それもあって、思うことや感情は隠さずストレートに表現することが多いです。これは日本人には少し戸惑うことかもしれませんね。
でもこれはフランス人の国民性であり、そんなものだと思えば、腹も立ちません。
3の、フランス⼈はフランス語を話さないと聞かないについては、これは確かにあるかもしれません。
しかし、これはフランス語にも強い誇りをもっているからではなく、英語が下手だからです。外国人に対してもフランス語で通す人が少なくないですし、最初は英語で話していても上手く話せないので、すぐフランス語で返事をしています。
よこで聞いていると、あれだけフランス語訛りがある英語だと、「聞き取りが難しいだろうな」と思って聞いています。
ですので、なるべくフランス語に慣れておくのは必要ですね。
また、外国人の受け入れについては、外国人を排除するというよりも、「仕事がないので働かない、働かないで子供の育児手当だけを貰っている」といった印象を与える悪循環が続いています。
日本人は、その点働かないで、手当だけ貰うということはしません。その違いですね。
GACKTさんの事件(?)は本当か
最後に、GACKTさんの事件を考えてみたいと思います。
改めて、その時の様子をニュースから拾ってみました。
1.GACKTさんは〇〇空港近くのレストランに入った
2.他に客はいなくて、GACKTさんは外の風景が見える入口近くの席に座っ た
3.店員が来て、奥の席に移るよう指示した
4.やむなく奥の席に移動した
5.その後、白人客が来て、その入口付近の席に案内された
6.その後も、アジア系の客は奥の席に、白人は入口付近の席に分かれて案内された。 それで いかにも人種で分けている感じがして不快だった
と、こんな感じだったようです。
実際に私がその場にいた訳ではありませんが、私はその様子を想像して、こういう可能性があるのではというのを4つ挙げてみます。
1)GACKTさんがフランス語が下手だったか話せなかったで、全く通じない場合で、無視されたなど、あるかも?ですよね。
2)GACKTさんの見た目が特異な感じだったが、フランスでは知名度がなくちょっとばかり派手で、「怪しいやつ」と思われた可能性も捨て切れません。
3)GACKTさんの対応に何か問題があった。店員さんの対応にGACKTさんが不快感を示したとか・・そんな可能性もあるかもしれません。
4)店自体、あるいは店員自体が対応に問題のある店(店員)だった GACKTさんの問題ばかり書きましたが、もちろん店や店員に問題があったかもしれません。
それに空港であれば、対応に気をつけなくとも、お客さんはどんどんきますので、 差別的というよりは、たまたまその店や店員が粗雑な対応をした可能性も勿論あります。
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まとめ
これまで書いてきましたが、ほとんどのフランス人は日本人への差別意識はないと思います。
ですが、これまで書いて来たような「差別されたように感じること」というのは感じ方で残念ながらあります。
それに対応するためのポイントは、2つあります。
●フランス人はサービス精神があまりない
●フランス語でいいかえせるように頑張る、
これらを頭に入れておくだけで、だいぶ違うと思います。
また、和食などのブームが根強く広がっています。また日本へ旅行するフランス人も多いですね。
日本人とわかれば、差別よりもむしろ興味を惹かれることも多いように思います。
しっかり日本人であることをアピールし、堂々としていれば、差別のようなことはまずありえないと思います。
どうぞ楽しく、フランスでの暮らしをしていってくださいね。
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