フランス語で「jours ouvrés と jours ouvrables」と言い方があります。
なに?と思いますが、有給のカウントの仕方です。
フランスといえばバカンスの国と思われていますが、有給休暇は年に5週間あり、皆消化しています。
このウヴレとウヴラブルの有給日数のカウントの仕方は、非常にフランス的で独特なものです。
企業によっては、年間の5週間の有給を、このウブレにしている、しないがあり、分かり難くくなっています。
一度すっきりと理解したいものです。
また、有給以外の休みもありますので、種類から消化まで見ていきましょう(^^♪
フランスの有給の種類と有給日数
フランスでは有給休暇の日数は労働法で、年間5週間となっています。
前年に丸1年働いた分を、翌年消化して使えます。といっても2017年からは、翌年まで待たずとも、消化は可能になりました。
有給には、働いた日数に対する対価の有給と時短代休というのがあります。 ウヴレとウヴラブルは有給のカウントの仕方で、それぞれ25日制と30日制とも言います。
フランスにおける有給の種類
まず、有給の種類についてです。
①有給
②時短代休(RTT)
と2種類に分かれています。
有給日数のカウントの仕方
①の有給はフランス語で、congés payés (コンジェ・ペイエ)といって、1年に5週間貰えます。
1年勤務で5週間のコンジェ・ペイエ、これはフランス中どこの企業で働いても同等の条件です。
この5週間を
- ウヴレ方式にする25日制
- ウヴラブル方式にすると30日制
のどちらかの方式かで消化することになっています。
土日が休みの会社も多いので、勤務日が月曜日から金曜日まで、週に5日と考えると、5週間で25日になるので、25日制となり、
そして、とてもフランス的な考えで、勤務していなくても土曜日も労働日と考えるのが、ウヴラブルで、週に6日とし、30日制と言いま す。
どちらでも、年間5週間は同じですが、会社が30日制を導入していると、計算がややこしくなり、チェックが複雑になっています。
【ウヴレ方式の25日制】
1か月勤務すると何日の有給(コンジェ・ペイエ)が貰えるかは、つまり、25日を12か月で割るとでますので、
となります。
たとえば、中途入社をした人が、半年働くと6か月ですので、2,083 x6=12,498なので、12日半になります。
【ウヴラブル方式の30日制】
30日制なら週に6日で、年間30日となります。
有給が30日制で計算されていれば、30を12で割ります。
どちらの方式でも、給与明細に有給日数が明記されているのですが、間違っている場合があるのは、引き方によるところが多いのです。
フランスに有給が導入されたのが戦後で、当初は夏に4週間と残りの1週間を別の時期に消化することが多かったのです。
そのような週単位の消化の仕方なら問題はないのですが、戦後から時代も変わり、細かくバカンスを消化しますので、細かく計算をしていく必要があります。
例をとってみてみます。
たとえばAさんが3月に5日休みを取ったとします。
3月4日の木曜日から、翌週の3月8日月曜日まで、カレンダー上は5日間です。
25日制なら、土曜日をカウントしませんので、木、金、月の3日を消化したとなり、
30日制なら、木、金、土、月の4日を消化したことになります。
極端な例ですが、25日制日なら、この3日(木、金、月曜日)の休みを取るのを、8回したとします。
有給残数から引いて行けば、最後に1日余ることになります。
ところが、30日制なら毎回4日の消化ですので、
と-(マイナス)になってしまいます。可笑しいですよね?
トリッキーなのは、30日制なら、年間5週間の有給ですから、土曜日が5回あることになりますので、4日の休みを8回取ったとしても、一度に4日引かれるのは、5回までです。
と残数が1日となれば、25日制と同じ結果になるのですが、給与明細作成が間違えていることがあります。どちらの25日制でも30日制でも正しく土曜日の引き方を管理をできれば、問題がないのですが、給与明細に記載する際に、計算を間違えるケースがありますので、注意が必要です。
有給の消化期間
ウヴレとウヴラブルのカウントの仕方をみましたが、カウントの期間は、6月1日~5月31日が有給の期間です。
中途入社でも前年の労働期間により、取得した日数を6月から消化していきます。
通常5月から10月の間に、従業員が有給休暇の申請をすると、会社側は拒否できなくなっています。
気候が良い時期や、子供の学校のバカンスと同じ時期に有給を取る人もいますし、夏の7月8月にまとめて取る人もいて、取得する時期は様々です。
では、時短代休のRTTについてです(^^♪
時短代休RTT
最初の章で触れました、②の時短代休についてです。フランス語で、RTTと言っています。
RTTとは、Réduction du temps de travail、の略で日本語で時短代休と訳しています。
フランスでは、カードルと言われる管理職者と、非カードルの2つのカテゴリーの従業員に分けています。
通常カードルは、勤務時間をオーバーして働くことが多く、残業したからと言って、残業手当もありません。
カードルは、朝9時に出社して、夕方17時に帰るような時間労働で仕事をしているのではなく、与えられた仕事をこなす、所謂ミッションを遂行するという考えの勤務を行っています。
会社規定で定められている、勤務時間を越して働いても、残業とはみなされません。その代わり、このRTTを使って、時間よりも日数管理するという考え方を適用しています。
先ほどのコンジェ・ペイエがウヴレで25日だったのに対して、このRTTはその会社が所属する業種の団体協定によって違ってきます。
会社の業種がたとえば、輸出入業だとすると、団体協定では、カードルの勤務日数を214日制と規定しています。
そうすると、
となります。1年が365日です、輸出業の団体協定では、12日のRTTとなります。
合計の有給は、
5週間の有給
2週間と2日(12日)のRTT
合計で7週間と2日の有給日数となります。
そうすると輸出入業の団体協定のカードルは、1年うち、7週間と2日の有給があることになります。
RTTの消化期間は各会社で規定されています(^^♪
まとめ
有給についてまとめました。 有給には、5週間の有給以外の時短代休(RTT)もあり、有給には
- ウヴレ「jours ouvrés 」
- ウヴラブル「 jours ouvrables」
の考え方があり、ウヴラブル方式は、少なくなっているとはいえ、中小企業では、今でも採用されています。
フランスで勤務している場合には、計算していて可笑しいと思うことがあれば、人事課で問い合わせるのがいいです。
言わないでいると、あとで何年分も遡って計算しなおすことにもなりると、とてもややこしいです。
あとで訴訟の引き金ともなりかねません。注意が必要です。